台風のすんごい南風が吹いた午後、海に行く時間も取れず、取れても出れる風域を超えてたなぁ〜と。
髪を振り乱し、ブツブツつぶやきながら、ヨロコビ跳ねる犬たちを連れて夕方の散歩に出かけた。
ふと見ると道端に黒い塊。
カラスより小さめ、鳩より大きめな鳥がうずくまっている。
動いてるから生きてるのが分かるけど、なんでこんな道端に?
ここらは車はあまり通らないけど、猫の社交場だから、見つかったら喰われるよ?
幸い、跳ねる犬たちには、まだ見つかってない。
でも二匹連れてて、鳥は持ちにくい。
もう一つ手が欲しい。
仕方ないから引き返して息子Aに声を掛ける。
「鳥が落っこってるぅ〜!」
返事をするより先に、すぐに出てくる息子A。
不言実行タイプだ。
とにかく跳ねる犬たちの気持ちもあるから、散歩続行。
近所の公園で手短に誤魔化して、帰りに鳥が居た場所をもう一度見る。
もう居ない。
飛んでったか?
車の下を覗いても見つからない。
あたりに、まだ猫は居ない。
ちょっと残念な気持ちで家に帰ると、ガレージに猫用の小さなバリケン。
中には、フリマで50円で買ったキティちゃんのピンクの毛布。
そして息子Aの誇らしげな笑顔。
「簡単に捕まったよ?」
ヤチョーを保護することは、鳥にとっては凄いストレスになり、それで死んでしまうことがある。
でもあのままあそこに居たら、間違いなく猫たちに苛められる。
猫クサイ、猫のキティちゃんの毛布じゃ、やっぱストレスかな〜?
早速、バリケンから出してみるが、ヨタヨタとバタついていて羽を痛めたのかもしれない感じ。
真っ黒な鳥で、嘴はかもめチック。
足は水かき、目はなんとも可愛い。
子供の海鵜か!?
獣医さんは午後休診の日だ。
どーしよ…。
でも、やっぱ聞いちゃおう!
獣医さんの携帯に電話してみるとすぐに繋がった。
「実はヤチョーを保護しちゃって…。」
「どんな鳥ですか?」
特徴を話すと、獣医さんは
「あ〜、その鳥なら、このところ3羽保護して餌与えて、ホーチョーしてます。すぐに連れて来てください。」
主婦は、3秒迷ったけど夕食の支度の放棄を決め、夕暮れの国道をヤチョー乗せて走った。
(明日に続く)
ヤチョー・ホーチョー前編
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