救ったシェパに貰った幸せ

日曜日の朝、車に乗って6時半に家を出た。
こんな早くに出かけるのは、ゴルフに行く時くらいなンだけど、今日は違う。
犬の用事で、埼玉に行ったのだ。
昨年の12月、保護センターに収容されていたオスのジャーマンシェパード、6才。
飼い主が探して迎えに来てくれるのを待っていたが、殺処分期限が来たのでボランティアさんたちが引き出した。
そして、新しくこの子を迎えてくれる家族を探すことになった。
保護センターに収容されていた時のこの子は、迫り来る死の匂いと恐怖に、唸り、吠えていた。
職員の方には、凶暴な犬と思われていた。
凶暴なオスのシェパードじゃ、新しい家族は見つけにくいかな…と思ったが、蓋を開けてみればなんてことない、穏やかで人懐こい、気のいい子だったのだ。
初めて会った人の顔も、べろべろ舐めて歓迎してくれる。
保護センターという名の殺処分収容所、その異常な状況下に置かれた犬を見て、性格を判断するのは難しいことなんだな〜とつくづく思う。
8ヵ月半という長い間、埼玉の訓練士さんのもとに預かって貰ったお陰で、愛情をたっぷり受け、すっかり落ち着き、躾け訓練も、し直して貰ってすっかり立派なシェパード、星丸君になった。
私も、何度か会いに行った。
そンな星丸君の新しい家族を募集していた張り紙を、とある獣医さんの入口に貼っていただき、通りかかったシェパ好きな方とのご縁が繋がったのだ。
ご年配のご夫婦だけど、シェパード飼育経験は長い。
ご自分の年令を考えて、今から仔犬を飼ったら自分の体の方が持たないかもしれない。
きちんと看取る責任を考えて、5〜6才の成犬シェパを探していたという。
隣家には娘さんご一家がお住まいで、いつでも変わりに面倒を見てくれる。
その上、預かってくれていた訓練士さんは、この方の先代のシェパードの訓練犬担当だったという偶然。
訓練士さんが結婚して名前が変わり、引っ越していたのでお互い気が付かなかったのだ。
願っても無いご縁に出会い、何度か面会を繰り返してから、星丸君をお宅にお預けし、お試し飼育期間に入った。
勿論シェパードの扱いに慣れている飼い主さんと、躾け訓練の入った星丸君には、なんの問題もなかった。
一ヶ月ほどが経って、いよいよ正式譲渡の手続きになり、日曜日の朝、飼い主さん宅まで出向いたというワケ。
車が着くと、知らない車だったので星丸君張り切って吠えている。
でも訓練士さんと私とが声を掛けながら入っていくと、とたんにピーピー鼻を鳴らして甘え声に変わった。
飼い主さんは、先代の犬を亡くした時の話をしてくださった。
突然の胃捻転で夜中に獣医さんに駆け込んだ事。
そして、手術も甲斐なく死んでしまったショック。
その後、ご自身は落ち込んだあまり、あちこち体の具合が悪くなり、病院の診察券ばかり増えてしまったと笑っていた。
一人で散歩をしても寂しくてしょうがなかった…と。
そんなつまらない散歩の途中で獣医さんの張り紙を見つけ、書くメモが無かったので、電話番号を呪文のように呟きながら急いで家に帰ったという。
犬談義で笑ったり涙浮かべたり、長い時間、話し込んでしまった。
新しい飼い主さん家族と星丸君の写真を撮らせてもらったが、どの写真も星丸君を囲んだ人間たちは心からの笑顔で、星丸君も飼い主さんを見上げてシアワセそうに甘えてる。
本当の家族を見つけることが出来た、幸せな星丸君が、そこにいた。
飼い主さんも、初めてお会いした時よりも、明るく元気で若々しくなられたみたいと、後で訓練士さんが呟いた。
毎日朝晩、8キロ散歩して訓練しているそうだ。
星丸君は筋肉が付いて締まり、逞しくなったし、飼い主さんも年令など感じさせないしっかりした足取りで、星丸君をコントロールしていらっしゃった。
保護センターに居た星丸君を、凶暴なシェパードだって言うから…私は自宅で保護預かりができないから…そんな私が引き出すのは無責任だから…諦めようと、一度は思った。
でも、「応援するから頑張りましょう!」と背中を押してくれた人たちが居て、今の笑顔の星丸君が居る。
そして笑顔の飼い主さん一家が居るのである。
何人ものボランティアさん達が動いて救い出せた小さな命。
そしてその命に出遭えて、幸せになれた人間。
なんだかとっても嬉しくって、幸せのお裾分けをいっぱい貰えて、充実した早起きの日曜日になったのでした。
本当に良かったぁ!
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