毎月第2・第4木曜日更新 (連載の場合は続けて次週更新します)

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Vol.31 海上に立つ人
 

山に雪の話題が出始めたら、季節はもう間違いなく冬。
いくら近くにあるって言ったって、海に入るなんてこたぁ〜寒そうでとても考えられない私。

水が冷たそうで、足が攣っちゃうンじゃな〜い?
手が冷たくなって、感覚無くなりそうじゃな〜い?
髪の毛濡れたら、冷えてアタマ痛くなりそうじゃな〜い?

ところがパドボー仲間の友人からお誘いが来た。
今度、日本で初のパドボー大会があるそうな…。
「一緒に出ようよ、まりちゃ〜んっ!」

なんたってまだやってる人が少ないモンだから、記念すべき第一回のこのチャンスに出ておかなくっちゃ!と妙な説得力で勧められる。

え〜?大丈夫?こんな超・初心者が、大会なんてスゴイとこに出ちゃっても、いいのぉ?。

なんでも試してみたくなる持ち前の好奇心が頭をもたげ、まずは冬の海からチャレンジしてみる。
友人と約束した練習日、海用の手袋、靴、インナーも準備して5ミリのセミドライスーツに身を包む。
ホッカイロは持てないか?

お天気が良かったその日は、12月だというのにとても暖かく、手袋もインナーも必要なかった。
海水は、そりゃ夏よりは冷たいけれど、足が攣るほどには冷たくも無く、心地よい。

なあンだ、まだ大丈夫じゃん。
遊べるンだねえ、12月も…。海って。

久々のボードに立って漕ぎ出す、のっぺりと地味な海。
風も無く、波も無く、人も居ない冬の海。
水は澄み、海底の砂に描かれた波紋まではっきりと見え、魚の姿も海草のゆらぎも足元にある。

冬の海は、とにかく水が透き通ってて綺麗だ。
夏の濁った海とは違う場所にいるのかも、と勘違いしそうになる。

キッレ〜ェ!
パドルを漕ぐのも忘れそうになるくらい、何度も絶叫しながら進む。

ふと周りを見回すと、海上にスック!と立つ、他のパドボー姿もいる。
サーフィンは、ボードに座って波が来るのを待ってるけど、ほとんど棒立ちで海に立つ人のシルエットって、なんか不思議…。って自分もそっか。。。

ブイを目印に回る練習をする。

普通に前に進む時は、ボードの中心にパラレルのように、足を置く。
足は少し開き、ボードのノ−ズに向って垂直に立つ。
パドルは右側と左側を、交代で3回ずつくらい漕いでまっすぐ進むようにする。
パドルは、左右でそのつど持ち替える。

曲がる時にはボードの後ろの方に下がり、スノボーのスタンスのように足の位置を前後に変え、後ろ足体重にしてノーズを水面から立たせてパドルを漕ぐ。
すると小さくカーブを描いて素早く回る。

これが基本の動作なンだそうだ。

小さいカーブで曲がれるよう、練習してみる。
結構クイックイッッっとボードが回り、面白い。
波も風も無かったこの日は、思うようにボードを操れた気がして楽しめた。

寒いどころか、軽く汗をかくくらいの良い運動。
二の腕のプルプルお肉と、ウエストの脂肪を捻り出すのだという思い込みが、パドルを漕ぐ力と回数に反映される。
体重計は、ちゃ〜んと骨格筋率の上昇を示してくれるモン。
ウレシイなっ!

気を良くしてまた別の日に、友人と約束して練習してみる。
ところがこの日はちょっぴし波があった。
っと言ってもサーファーさんたちが繰り出すほどのモノでは無く、相変らず地味で空いてる冬の海。

沖からザワザワと南風が入ってきて、ボードに立つ自分が風の抵抗を受け、パドルを漕いでもなかなか進み辛くなる。
っと思ってたら、また風は止み、少し波のあるさっきの海に戻ってた。
少しの時間でも、海は表情を変えて面白い。

水平面で遊んだこの前とは違い、今日のボードは波とうねりに翻弄される。
回転すれば、横波で簡単に海にボチャン。
ちょっとの油断でまたボチャン。
寒くない海は、気持ちいい冷たさでまだイケる。

うねりに追いかけられて頑張って漕ぎ、たまたま乗れてしまった一本の波。
うっほほ〜いっ!

波のスピードで岸に運ばれて行った面白さ。
止まり方が分からなくて砂浜に刺さって止まったけど、気持ち良くってゲラゲラ笑った!
う〜ん、またやってみた〜い。

今度の練習はいつにしよっか?
帰り際、性懲りも無く、またまた次の練習日の約束をした。

夕焼けが海面を見事に染めて、そのあまりの美しさにパドルを漕ぐ手を忘れてタメイキをつく。
キッレ〜ィ!
やっぱこの景色は何回見ても感動モノです。

「12月、まだまだ遊べる冬の海」

「主婦なのに、またまた遊ぶ師走かな」

「井の中のかじやら、大会を知らず!?」

※次回の更新は12月28日(木)です。お楽しみに。