Vol.73

命の洗濯

私は、音楽が大好き〜♪
音楽の無い生活は、色のない世界のように、味の無い料理のように、物足りなく寂しいだろうと思う。
こうしてPCに向かいながらも、後ろではMDが当たり前に歌ってる。
道を歩いてるときも、買い物をしてるときも、常に私の頭の中には音楽が流れてる。

幼稚園に入る前の幼い頃、父の膝の上で、おもちゃのピアノを弾いて遊んでた。
海軍でラッパを吹いていたという父に、音階を教えてもらっていたそうだ。
そのうち、テレビで流れる漫画の主題歌を、おもちゃのピアノで弾いて一緒に歌うようになり、自称音痴の母はかなりびっくりしたらしい。

「このコは天才かもしれない!」
そう直感した母は、私が小学校に入ると同時にピアノ教室へ通わせた。
貧乏だった我が家に、場違いにも奮発したピアノが運び込まれ、隣近所は驚いた。
そして私は6年間、クラシックを毎日毎日弾き続けた。

ピアノの先生は、音楽学校への進学を勧めたが、母は普通の学校へ進学させる道を選んだ。
その時にはさすがに「天才じゃぁ〜ない」って事を、悟ったのだろう。
それでも音感といえるのか、外れた音は分かるし、相変らず聞いた音楽を弾くくらいはできる。
だからカラオケで自分の歌の音が外れるのが許せない!?

音楽のリズムは、鼓動のように常に頭の中で鳴ってて当たり前、人目と理性がなけりゃ道を歩きながらだって歌って踊りたいくらいだ。
夕食の支度をしながらノリノリの音楽を掛け、一人、台所で踊ってるダンサーを家族は知らない。

そんな私の血なのか、息子たちは音楽大好き・歌うの大好き・踊るのもっと大好きになってしまった。
ま、いっか〜楽しけりゃっ♪

音楽大好きだからといっても、なかなかそうしょっちゅうコンサートに行かれるモンじゃない。
せいぜいCD買って聴きこむくらいが日常。

ところが、鎌倉にジャズのライブを聴けるお店があったのだ。
高校の先輩がプロになっていて、鎌倉で出演すると聞き、家族で出かけてみた。

まずは、腹ごしらえ。久しぶりに家族が揃ったので外食だァ♪
若宮大路の段かづら横にある、ア・リッチョーネというイタリアンレストランへ行く。
鎌倉で畑を耕してスタッフ自ら作ってるという、ハーブや野菜を使って、一つ一つ大事に料理してくれるお店だ。

お子様連れ歓迎。
子供にもスローフード、大人の食事時間を体験させたいというお店の考えには賛成だ。
それでも周りに迷惑をかけるようだったら、注意させていただく事もあるとの事。そりゃ当たり前。
そうあるべきだと思うし、私もそうやって子育てしてきた。
だから、最初から子供の入店お断りとなってるレストランを見ると、悲しかった。
お行儀の悪い子供ばかりじゃないのになぁ〜って。

盲導犬・聴導犬・介助犬や車椅子での入店もOK。
訓練された使役犬は杖と同じ、お客様の一部だし、車椅子での入店も当たり前の事だ。
「アナタ太ってて場所とるから入店できません」「毛深いからご遠慮ください」って言うのと同じで、それってお客様の個性だもの。

支配人の精神に共感できる、また行きたくなるお店だった。
お腹が幸せになったら、今度は音楽で心が幸せになる番だ。

レストランからすぐ近く、小町の横道にある、ダフネというお店。
ここでも美味しい食事が頂ける。
待ち合わせた友人たちは、ちょうど焼きたてのピッツァを食べ始めたところだった。

ちょうどいい広さの店内、予約しておいた席は唾被りのステージまん前だった。
席に落ち着いて少しすると、8時頃から1ステージ目が始まった。

さすがプロが演奏する生の音楽、私なんかイチコロ、すぐに心が酔う。
先輩が弾くベースの心地よいリズムと美しい音色が、体の細胞全部にジワ〜ッと滲みこんで来て、思わず目が潤んでしまった。
こうなると、音楽ってきっと体に良いンだろうね〜。

1ステージ後、出演者の方々とワインで楽しく談笑し、2ステージ目も堪能。
前回来たときに購入し、サインまでして貰ったCDを毎日のように聴いていたので、今回、生で聴いても一緒に頭の中でハミングできるくらい楽しめた。
ヴォーカルもパーカッションもピアノも先輩のベースも、目の前で演奏されてる生きた音!
頭のてっぺんから足のつま先まで、どっぷり音楽に浸かって、とろけるようなひとときだった。

遠い昔に買ってもらったあのピアノは、ず〜っと大事に持ってたけど、ここへ引っ越してくる時に処分してしまった。
もう家でピアノを弾くことは出来ない。
もう一度中古でも買って、弾いてみたいなァ〜♪とさえ思えてきた。

家の近所で、こんな素晴らしい日本の第一人者と言われる方々の本物のジャズを楽しめて、これこそご馳走って思える食事も美味しく頂けて、なんだか命の洗濯ができちゃった夜だった。
これでまただいぶ寿命が延びたなぁ〜。
お月さまを見上げながら、幸せを感じつつ、ルンルン♪で家路に着いたのでした。