Vol.69

ユーミン

ある日の新聞にこんな折り込み広告が入っていた。

松任谷由実 「YUMING SURF&SNOW in Zushi Marina Vol.17」 <逗子市市制50周年記念公演 特別先行受付のご案内>

それによると7月22日〜25日の4日間、逗子マリーナでユーミンのコンサートが開かれる。
そのうち24日を逗子市市制50周年の記念公演として、逗子市、葉山町、鎌倉市在住の人に特別優先販売をするというのだ。

「特別優先販売!」

私が大〜好きな、魅力的なイチコロ・フレーズだァ。
それに我が鎌倉市も入ってるじゃん♪
ってコトは、ユーミンが、私を呼んでいるってコト〜!?
申し込むっ!行くっきゃないっ!!

1世帯で4枚まで申し込めて、申し込みが予定枚数を超えた時は、抽選になるンだって。
私は辛い料理と抽選ほど弱いモンはないンだけど、でも今回だけは外れる気がしない。
気合で当てるっ!なんっつったって、ユーミンが!私を呼んでるンだから?よっ、久しぶりっ!って。

すぐにハガキを書いてよぉ〜く拝み、昔ながらの鎌倉名物・赤いポストに滑り込ませる。
そしてしばらく経ったある日、ユーミンからお知らせが届いた。
そう、当たったのだ!ステージ正面のブルーの席が。
数年分の運を使っちゃった感じ。
席はすべて抽選で、他にピンク、オレンジがあって、ステージの両側に配置される。

思い起こせば、はるか遠い昔、ユーミン・逗子マリーナコンサートの初期に、行った事があったっけ。
ほとんど覚えてないけれど、芝生に座って聴いてたような・・・?
今度もプールサイドでやるらしい。

さっそく友人に声を掛けてみる。
「ユーミン、行く?」
「行く!行く!!」

すぐにノリのいいユーミン世代が集まった。
「楽しみだねぇ〜。」
「私、コンサートなんて何十年ぶりかしら〜?」
気持ちだけは荒井由実時代のまんまである。

夕方の涼しくなった風を楽しみながら、材木座海岸をペタペタ歩いて逗子マリーナへ向かう。

「臨時バスが駅とマリーナを往復してるンだけど、すんごく大勢並んでた!」
「歩いて行くの、正解だよ。気持ち良いし!」
地元優先の日だけあって、裏道を歩いて行く人は結構多い。
マリーナに着いてみると、すんごい人がごった返してる。

軽いおつまみとビールを片手に席につく。飲めない私はジュースで乾杯だ。
日差しは刻一刻と優しくなり、空と海の色が引き込まれそうな濃いブルーに変わっていく。
湿気はあるものの、海からの風が期待を大きく膨らませる。

開演予定時間を少し過ぎたころ、じゃあぁ〜〜ん!とユーミン、ステージに登場。
遠くて顔は分からない。
でも遠目でもスタイルの良さはバツグンだ。

客席はわあああ〜!っと総立ちになる。
ちょっと待ってえ〜!私はちっちゃいのよ〜。前で立たれるとなあんにも見えないのぉ!
前の人が座ってくれても、その頭と頭の間から首を伸ばして覗き込み、やっとステージがチラリと見えるチビな私。
ステージ全体の動きなんてまず見えやしない。

WOWOWで放送するっていうから、それを観るとしようか。
あ、ウチ、WOWOW入ってないから観られないじゃん!?
そっか生音楽を聴きに来たと思えばいいのか。
い〜や違うよねっ!

前の人たちが立って踊り、楽しんでる後ろ姿を見ながら座っていたけど、後ろの人達、ごめんなさい、私もやっぱり立って観たいです・・と後ろを振り返れば、なあんだみ〜んな立ってるンじゃん。

ロシアのシンクロ選手の素晴らしい演技が音楽を盛り上げて、
ステージ照明と合わせて背景の鉄塔のネオンがクルクル色を変えて、
その頂上から炎が上がって、
大画面がいつの間にか出現していて汗だくのユーミンの笑顔を映し出して、
噴水がその鉄塔と背比べをするほど高く水柱を吹き上げて、
そしてなによりユーミンが次々と衣装を変えて踊り唄う!
こんなすごいショーを見ずに音楽だけを聴いてちゃモッタイナイ!?

時々入る静かなバラードで、みんなヤレヤレひと休み〜と座るのでハイ、私もよっこらしょ。
ンで、また行くよぉ〜!っとノリの良い曲で再び立ち上がり、手拍子叩きまくりで手のひら真っ赤、ノリノリで踊りまくりの、ジャンプまでしちゃってる。
「埠頭を渡る風」が終わるとステージ後方の海上から、花火が何発も夜空に広がった。

確か私よりちょっぴし年上だったハズのユーミン。
「ここ湘南は、私の青春なンですぅ〜!」
ユーミン、アナタもそうだったのかい。
やっぱ同世代なンだわぁ。
私もユーミンになる!と美大に行ったけど、惜しいかな、なれなかったンだけどねぇ〜。
「みんなありがと〜!」って両腕を振っても、鍛えているのか振袖お肉は全然揺れなかった。
更年期はないのか、乗り越えてるのか、ユーミン、アナタは、若いですっ!

また再来年も逗子マリーナに呼んでちょうだいな。
今度はもっとよく観えるように、成長ホルモン出し切って身長伸ばして来ちゃうから〜♪