Vol.52

ハ〜パン同好会

ここ湘南・鎌倉あたりにも、ようやく北風が吹く日が増えてきた。
今年の夏はとっても冷夏で、でも秋があったかくて、今は11月だというのにまだ動くと暑い日があったりした。
気候がおかしいのか、これが湘南ってトコなのか・・・?

もともと湘南は気候が良いところなので、静養・保養の地なのらしい。
会社の保養所や別荘も多かったりするから、ここでは、の〜んびりと体を癒せるのだろう。
潮風は体に良さそうだし、潮水に浸かれば風邪予防にもなるンだっけ?
血液の塩分って潮水と同じ濃さだとかって聞いたコトもある。鼻水もしょっぱいしねっ!?

そんな湘南に移り住んで一年ちょっと。
だんだん湘南の空気というかリズムというか、横浜とは微妙に違った生き方に変わってきたような気がしてる。

その1
どこへ行くのにも、革靴は履きたくない。
できればビーサン(注:ビーチサンダル)。
私は寒がりだから、早めにスニーカーになるけど、これはどうも邪道らしい。
真の海の男は、一年中、ビーサンで過ごし、お出かけ用・普段用と各種とり揃えているらしい。
(推奨:ビーサン振興会!?)

その2
どこへ行くのにも、襟付きのシャツは着たくない。
できればTシャツ。
夏の半そで、冬のロンT(注:ロングスリーヴTシャツ)、それにトレーナーかパーカーを愛用。
ただ単に洗濯が楽なものが好きで、アイロン掛けが嫌いというコトもある。
さすが、かじやら!
(推奨:Tシャツ愛好会!?)

その3
どこへ行くのにも、折り目の必要なズボンは穿きたくない。
できればハ〜パン(注:ハーフパンツ)。
ダメでもGパンかコーデュロイ。
できればヒザが出てるか穴の一つくらいは開いてるのが、おしゃれな正統派。
今のこの季節でも、街中でハ〜パン穿いてるのは、小学生ばかりと思っちゃ間違いだったのサァ〜♪
(推奨:ハーパン同好会!)

しょっちゅう海に入ってると、皮膚がウェットスーツと同じ素材になるンだそうで、寒さに強くなるらしい。
寒がりだった私もそのおかげか、犬の散歩でせっせと歩くには、まだ、ロンTで充分なのだった!
皮下脂肪が付いたからだ!っちゅう説もあるンだけどね〜。

身に付けるモノがそんなだから、気持ちの持ちようもやっぱ見たまんまのそのまんま。
ゆ〜るゆる、ず〜るずる。
の〜んびり、ぼ〜んやり。
焦らず、争わず、呆れられ・・・?
ポリシーは、「ま・いっか」。
波と闘わず、風と争わず、楽ぅ〜に生きていこうじゃないの。

興味のあるコトと言ったら、今日もしくは明日、波が立つか、風が吹くかってコトだけなのだ。
みんな気象庁の手先みたいに、天気図を読んで予想する。
そして、いかに仕事を欠勤するか、その口実を考えるのである。

「いやァ、風で休みますぅ〜。」

そういう、人には言えない陰の苦労を重ね、平日の昼間にだって、ひたすら海のことだけ考えて集まってくる変な人間たち。

ナッシュの散歩に浜へ出てみると、わあ〜、今日は波が立ってるねぇ〜!と驚く事があるけれど、そんな朝には、必ず、波を確認に来てるサーファーが多いのだ。
マイちゃりにビーサンで跨り、浜辺で腕組みしながら波をチェック。
自宅から海までは、このマイちゃりにボード載せてウェットでおでかけが湘南スタイルのカッコい〜いサーファーだ。

海から上がって、濡れたウェットスーツで裸足の足跡つけて、道を歩くことは当たり前。
ハタメにゃちょっと異様な光景なのかもしれない。
お寺へ参拝にいらしたお年寄りの横を、濡れたウェット着た人間がボード抱えて歩いてンだから。

以前は、吹いてる風が、北風か南風かが何故分かるンだか、とっても不思議だった方向オンチな私。
どっちが東で南なのか、街中で方位磁石無しでなんか、分かるハズがない!
アメリカの刑事もの映画で、「犯人は交差点を東へ逃走!」なぁんて言うけれど、
私が刑事なら「どっちィ〜!?」って叫んでると思う。

でも、いつも、「今日は北だな。」とか、
「南に変わって来たぞ!4〜5メーターか?」とか聞いてるうちに、やっと分かるようになってきた。
どこにいても、常に風を意識する、変な人間たちの仲間入りができたのだ!

浮世離れしている彼らにとって、ブランドと言ったら、道具のメーカーのコトだと思い込んでるし、旅行と言ったらハワイかサイパンの波の立つトコ、風の吹くトコ。
そろそろスーツを買ったら?と奥さんにお金を渡されて、ウェットスーツを買ったら怒られたという友人がいる。
将来を案ずるよりは、今日明日の波・風を捉えるコトが何より大事なコトなのだ。

いつまでハ〜パンでいけるのか、ハ〜パン同好会なるモノを結成宣言したウチの家族。
オレも入る、オレもオレも・・と、数人の友人が参加表明。
北風にも負けず、意地にもなってるのか、元気にハ〜パンで闊歩するオトナ達。
ここは、そんな人間たちが、多数、生息している平和な浜なのであった。