Vol.40

続・ナッシュに相棒!?

ナッシュと新入りの女のコ。
体の大きさ、オスとメス、年齢。
ナッシュの相棒としては、きっと良いだろうと思って見つけたコだった。

しかし人間ごときの浅知恵とはウラハラに、「好き!」「嫌い!」と、犬の気持ちはハッキリしていた。

「しょうがない。コイツとはうまく合わせておかなくっちゃなァ〜。」とか、

「せめて見た目だけでも折り合って仲良くやっていくか〜。」なぁんて、犬たちはこれっぽっちも計算は、しないらしい。

「ねぇ、ナッシュのコト、そんなに嫌わないでョ〜。
ああ見えても、それほど悪いヤツじゃあないと思うよォ〜。
ナッシュと仲良くしてくれないと、ウチに置いてあげられなくなっちゃうンだよォ〜。」

毎日、言い聞かせて新入りちゃんを説得してみた。一緒に訓練もどきのこともして交代にご褒美を与えたり、毎日一緒に遊んでみたりもした。

題して

「楽しいコトを一緒にすれば、一緒にいることが楽しいと錯覚するかも作戦」だ!

新入りちゃんはナッシュの面白そうな遊びにつられ、だんだんとその遊びに乗ってきて楽しそうにはしゃぎだす。
でも、私と遊ぶのが楽しいのであって、そばで一緒に遊ぶナッシュはどうも邪魔らしい。

私を独占したいのが本心である。
私に懐くにつれて私のストーカーになりたがり、先住ストーカーはライバルでしかなくなっていく。
そしてライバルの存在が気に障ったとたん、唸り声を上げ、睨み付け、飛び掛かって喧嘩になる。

日に2〜3回は、激しいバトルを繰り返した。
気が済むまでバトれば、力関係の折り合いもつき、群れとして落ち着くだろうとやらせてみた。

大型犬のバトルは、それはそれは激しくって、約30キロ(これでもシェパとしてはどっちも小さい)の体重の2匹が取っ組み合い、ギャンギャン吠えあい、咬みあい、壮絶な戦いだった。

私の考えとは違って、回数を重ねるたびに2匹の喧嘩はだんだんエスカレートし、本気モードになっていった。

オシッコちびるほど激しく、怪我して流血のバトルとなった時、さすがにこれ以上やらせたらマズイと思った。

負けた方はビクビクするようになり、相手の存在が恐怖のストレスとなってきた。
このまま一緒の生活を続けたら、お互いが不幸になる。

私の本意ではなかったが、緊急避難措置として2匹を分け、内と外で別々に飼うことにした。
トイレの躾がまったくできていなかった新入りちゃんを外で繋いで飼い、ナッシュは今までどおり室内で飼ってみた。

これで取りあえずは、落ち着いた生活になるかに思えた。
でも自由に室内に居られなくなった新入りちゃんは、室内にいるナッシュにヤキモチを妬き、吠える。
ライバルが吠えているので、応えてナッシュも吠える。

仲が悪いから、散歩も2匹一緒に行かれず二度に分けて行かなくてはならない。
片方が散歩へ行っている間、残された一匹は

「置いて行くなぁ〜!お前だけ連れて行って貰ってズルイぞ〜!」と吠え続ける。

今、帰って来たばかりのコでも同じ。

「自分は置いていかれる、アイツだけ連れて行って貰ってる。」のが気に食わないのである。

朝早くからこの騒ぎだとご近所に悪いからと、散歩の時間も遅らせ、片方を室内に入れてから出かけてみたり、あれこれ気を使った。

この2匹のワンワン喧嘩も、ご近所への気兼ねから今度は私にストレスになってきた。
日に何度も吠えている犬のところへ飛んで行って、なだめ、静かに!と説得する私。
理由がある吠え声も、飼い主以外にとってはタダの無駄吠え騒音だもんね〜。

トイレの躾も試みたが、なかなかトイレシートの上にうまくできない。
大型犬のトイレの始末はそりゃあ大変で、床掃除と犬自身を拭いて綺麗にするのに一時間かかることもザラ。
やっと綺麗になったと思えば、もう次の粗相が・・・。
犬には何の罪も無いから怒りはしないけど、次第に疲れは溜まっていった。

保護団体へは、ナッシュとの相性がうまくいかない話をコト細かく報告していたので、お試し飼いは不調ということで、新しい里親さんをまた捜してくれることになった。

自治体によっては、シェパなどの獰猛なタイプの特殊な大型犬は、檻に入れて飼わなくてはいけない条例があるそうだ。

神奈川県にはその条例はないけど、近県でもその条例があるところではオイソレとは里親になれない。犬を迎える前に、檻を作らなくちゃいけないからだ。

幸い、受け入れてくださる里親さんがすぐ見つかり、彼女は新しいご家庭に迎え入れて頂くことができた。

すっかり情が移ってしまった私、こんな可愛いコを手放すのはとっても残念で別れは辛い。
でも、人懐こい性格のコだから、きっと可愛がられ、幸せになれるだろう。

あちこち移動させてしまって、彼女にとっては可哀想なコトをしてしまった。
ウチのコになる運命の赤い糸があると思い込んでしまったのが、私の間違いだった。
何十個と書き出してみた新しい名前の候補は、結局最後まで決まらないままだった。

彼女を新しいご家庭へ送り込んだ翌日、私は呆れるほど一日中眠った。
ナッシュも彼女の不在を確認したあとは、ノビノビと落ち着いた顔になった。

猫軍団は崩れた力関係を再建し、密かにその勢力拡大を図ってみたりしている。

そして私は、趣味である「里親捜しサイト」を熱心に見て、「子犬なら大丈夫よね〜!?」などど、性懲りもなく、また想像を巡らせているのであった。