Vol.34

犬のお医者さん・猫のお医者さん

昔、まだペットフードがあまり売られていなかった時代、友人がスーパーで店員さんに聞いた。

「猫の缶詰ありますか?」

店員さんの顔から血の気が引いた。
猫肉の缶詰を食べる人間!?と思ったらしい。(ンな缶詰あるのか!?)

犬のお巡りさんと言えば、犬が制服着て迷子の仔猫ちゃんに道を教えてくれるらしいが、犬のお医者さんは、犬が白衣着て、注射するのではない。(いや、念のため。)
もちろん猫のお医者さんも「なめンなよ」みたいな、猫じゃあない。(シツコイ?)

8匹も動物がいると、しょっちゅう誰かが具合悪かったりする。
言葉で訴えてくれないだけに、常に気をつけて見ていないと、誰が具合悪いのか判らない。
これはほっといても治るだろうとか、ちょっと様子を見てみようとか、すぐにお医者さん!とか、判断が難しい。

猫のタックンは、仔猫で拾った時、手のひらに乗るくらいの大きさで、まだ目もちゃんと見えていなかった。
お尻にウジが付いていて、お医者さんで薬浴して手当てして貰い、5分5分と言われた命が助かった。

すっかりドラ猫に成長したが、去年の夏からおしっこが出にくくなってしまった。
たまたまトイレしてる姿を見て、おかしい!と、すぐお医者さんへ。
尿道が普通より狭く、癒着もあり、砂が詰まりやすい。奇形らしい。

人間で尿道結石をやった男性は、お産よりも痛いと言う。
タックンも相当痛かったンだと思うけど、泣きゴトは言わなかった。

何度もおしっこが出なくなるのを繰り返すので、大学病院で診て貰う事に。
掛かりつけの猫のお医者さん!?に紹介状を書いていただき、淵野辺にある獣医大学へ行った。

待合室には、いろんな犬や猫がいて、飽きない。
みんな痛々しい可愛そうな動物達なんだけど、彼らには悲壮感がない。
足が3本でも、毛が抜けてみすぼらしくても、その現実を淡々と受け入れていて、飼い主と一緒にいることが何より嬉しそうだ。

診察室に入るのを拒んで、入り口で踏ん張ってるコ。
終われば、早く帰ろうよ〜と、はしゃいでるコ。
待ってる他の人たちから、笑いが起きる。

タックンは診察の結果、手術することにした。
ニューハーフになる手術だ!
タマタマは、もう既に去勢手術済み。
今度はもっと完全に女の子になっちゃう手術!?
そうすれば、尿道も太く短くなり砂が詰まることは無い。
これって究極の選択?

タックンという名前は、男の子の名前だから、改名しなくちゃいけないかな?
じゃあ、タッ子にしよう!?
これからはオスとは言えなくなるのかな?
完全にニューハーフになって、ウチへ帰ってきたら、他の猫たちは、その違いが判るのかな?
変なネコになるかもしれないけど、また仲良くしてね〜!

16才の老犬アリスも、ここンところ調子が悪い。
夜中に吐いて下痢p〜に出血もあったので、これもすぐに犬のお医者さん。って同じ先生だけどネ〜。
体力消耗しちゃってて、脱水症状。
腎不全にもなっている。

注射・点滴して貰って、なんとか三途の川の手前から戻って来た。
ぐったりしてるアリスの耳元で私は囁いた。
「早く元気になって、レバー食べようねェ〜♪」

翌日、他の動物達の食事の気配を察するや、
「行かなくちゃ〜!ごは〜ん!」
と、動き出すアリス。
これには驚いた。

食いボケ・徘徊老犬だが、食欲旺盛・足腰元気ということにしておこう。
こうなったら16才と言わず、46才くらいまでは頑張って、ギネスに載って貰おう。
妖怪でも、もののけでも、化け犬でも、ヨーダでも、何でもイイから、いけるトコまで行ってみよ〜っ!来年くらいには、日本語を話しだすかもしれないしィ。

話すと言えば、猫のポー。
彼の舌や喉の構造は、普通の猫とはちょっと違うみたいだ。

「なおえ〜」
「ありおりぃ」
「にょんぅえ〜」
「おぐんによぅ」
「うんがあも」

毎日、大きな声張り上げて一人熱心に、しゃべってる。それもけっこうイイ発音だ。
彼こそ、「日本初・話す猫」になれると確信している。もうあとちょっとだ。

日本語ペラペラになったら、具合の悪い猫達の通訳ネコとして活躍してくれそ〜だ!?
それとも、ホントの猫のお医者さんになれるかも?国家試験、受けられるかなあ〜??