これは、そのものズバリのノンフィクション2部作である。御覚悟を。
その1 「猫トイレ」
引越しを機に、犬・猫の完全室内飼いを決行した。
猫達の狩りは全面禁止になり、トイレも室内の猫トイレのみ!と言い渡した。
外へ出ると、どうしても気持ちの良い屋外で用を足してくる。引越し前の近所で、苦情が出たのだ。庭でしゃがんでるのを見るので、トイレはウチの庭でしていると思ってはいても、猫に敷地や境界の意識などない。隣もお向かいも猫にとっては縄張りの一部でしかないのだ。
落し物が全て我が家の猫のモノとは限らないが、たとえノラくんのブツでも、反論のしようはない。トイレされる近隣のお家にとって、いい気はしないだろう。
近所で猫を飼ってるのは、ウチしかなかったから、文句の一つも言いたくなるのは、ごもっとも。
今時ネズミも見かけないから、ご近所のお役に立ってるとも言い張れない。
おまけにゴミの集積所を荒らすノラくんへの風当たりが、まかり間違ってウチの猫にまでトバッチリが来る。似たような柄だからと言われてしまえば、ありふれた猫なだけに仕方ない。
猫にとっては、住みにくい時代になったモンだ。
だから対策はただ一つ。
今度のウチでは、完璧に外へ出さないようにしようと思ったのだ。
窓から外を眺めてよその猫を見つけたり、木に止まった鳥を追いかけたがったりしているが、何とか思い留まらせている。
ちょっと可哀想な気もするが、せいぜいベランダで我慢してくれィ。
しかし、6匹の猫の完全室内飼いで、大変なのは私の方だった。
猫トイレの掃除が、想像を絶する忙しさのだ。なんせ、6匹もいるンだから。
猫の数だけトイレを置いた方がいいという意見もあるが、学校のトイレじゃあるまいし、そんなに並べるスペースはない。共同トイレにして貰おう。人間だってマイ・トイレなんて持ってない。
それでもとりあえず最初は、それらしいプラスティックの箱まで総動員して5個くらいは並べた。
猫にだってトイレラッシュはあるンだから。順番並んで待ってるし。
それと同時に、電動掃除機能付き猫トイレの購入を検討し始めた。
カタログで見たところ、なかなか良さそうだ。
猫がトイレを使うと、数分後に自動で櫛が動いてブツを運び、カセットの中へ収めてくれる。
これならいつでもトイレは綺麗になってるってワケだ。
一つ問題は、値段が高いこと。
たかが猫のトイレに、ン万円〜!ウ〜〜ム。と、唸りつづけて数ヶ月。
あるとき、訪ねて来た友達にカタログ見せて、ご意見を伺った。彼女も動物大好き、多頭飼い。
すると、インターネットでアメリカのペットグッズ屋さんを調べてくれた。
安い!おまけにセール中。カタログの半額だ!
アメリカからここへは届けてくれないが、ちょうど良い事に、アメリカに住んでる友達が日本へ一時帰国する予定!彼のウチへならバッチリ!届けてくれる〜ゥ♪
渡りに船とばかり、にんまりする二人。恐ろしい計画は、勝手に進む。
かくして、久しぶりに日本へ帰ってくる友人の荷物には、猫がトイレでしゃがんでる写真付きの大きな箱が加えられ、両国の税関で「これは何?」と聞かれて大笑いされたそうだ。
「日本には、猫のトイレは売ってないのかっ!?」
おまけに、一緒に企んだ友達が、「引越し祝いね!」とプレゼントしてくれたァ!なんと有り難い。
はるばる海を渡って飛行機で運ばれ、我が家の猫たちの素晴らしい財産となった電動掃除機能付き猫トイレ♪
ウィ〜〜ンと音がすると、飛んでいって動きを見守る。
すると必ず2〜3匹の猫が見学している。
真剣に見守る猫たち。
猫パンチしてやる〜!と手を挙げたまま、固まってるコ。
生きてる〜!?と、腰抜かしてるコ。
ニヤニヤ眺める嬉しい私。
毎日、朝と晩、カセット一杯のブツが集まる。ずいぶん仕事は楽になった。
我が家を訪れるお客さんには、必ず見せる自慢の一品である。