Vol.8

師走

今年もあっという間に12月になってしまった。

毎年この時期になると憂鬱である。「やらなくちゃリスト師走版」の貼ってある冷蔵庫をにらみながら、カウントダウンに追っかけられてる気がしてくる。

なにより大掃除という習慣がある。

私の場合、掃除イコール大掃除だから、かなりの気合いを持って臨まなければならないのだ。そしてノリのいい音楽、体力、時間、協力者もしくは完全な孤独が大事。のめり込む「発作」なので、やり始めると三度の食事も忘れてしまいたい位、止まらなくなる。アドレナリン出まくりのそんな時、腹減った家族に「なんか喰わせてくれェ〜。」と邪魔されるよりは、おにぎりほお張って一人戦う方が気が楽なのだ。

大掃除は新年を迎える為の儀式であって、我が家では自己満足の世界である。なんせ昭和20年代に建てられたと思われる文化財的木造建築物は、磨いたらキリが無くなっちゃうと思われる色をしてるし、「それが木材という物だ。」と語ってる。サザエさんちのモデルのような佇まいを掃除するのは、妥協といい加減さを持って立ち向かうべしである。決して完璧を求めては、いけないのである。


掃除を始める前には、片付けをしなくちゃなんない。片付いたとこで掃除が始まるのだが、それに至るまでが至難のワザ。何日かかるかこれも妥協しないと進まない。掃除機が動き出すと、ほとんどの動物達は逃げていく、が、掃除機大好きのポー猫だけは飛んで来る。そして目の前でひっくり返って「おなか吸って〜」とアピールする。しばらくは全身、気が済むまで吸ってやらないと前へは進めない。

雑巾がけは、どの猫もよく手伝ってくれる。猫の手を借りたい気持ちは山々だけど、あまり役には立っていない。バケツの汚れた水を飲むのもやめて欲しい。

師走の行事に年賀状書きがある。美大出の血から、若い頃には凝ったことをしていた。

「年に一度の作品発表」くらいの気持ちでデザインから版画にも取り組んだが、この頃はマッタクそんな事は考えない。ローソンの賀状印刷から選んじゃって済ませてる。今年はパソコンで作ってみようかともアタマをかすめたが、プリンターと接続もしていないし、忙しさを理由に取り組む気にはなれない。来年の楽しみとしよう。

暮れも押し迫ると、クリスマスという国民行事がある。

最近は、早々と庭に電飾を飾って楽しむお家も増えてきたが、子供が育ってしまったらそんな考えも浮かばない。子供が小さいうちはツリーも飾り、ケーキも焼いた。サンタさんも来ていたが、バブルがはじけて以来、不況でサンタさんは来なくなった。

もしもお化けに出会ったら、迷うことなく「南無阿弥陀仏」を唱える私だが、子供たちは横浜・山手の素敵なキリスト教教会幼稚園で難しいお祈りをしていた。生まれたときはお宮参りをしたし、教会の幼稚園では七五三のお祝いをしてくれた。お葬式は仏教だろう。クリスマス後の初詣は神社だし〜。ミックス教な我が家だが、神さまも仏様もキリスト様も、みんな総出で守ってくださると信じよう。しかしお釈迦様の生まれた日っていつだっけ〜??

買い物も、なにかと正月用の食品は値段が高い。普段のカマボコが、ちょこっと正月風の包装しただけじゃないの?中身が違うとはどーも思えん。包装ごと食卓に出すワケじゃなし。納得できないけど、やっぱり少しはお祝い気分でおせち料理も並べなくちゃなるまい。元日も休まず営業するような勢いのスーパーが多い中、おせちも必要無い気がするけどしょうがない。食べなきゃお正月という感じがしないモンね。

そして一週間のゴミ収集のお休み。お正月気分の狭いウチの中、大掃除の残りから正月食品のゴミまでが溜まっていく。これの置き場がとっても困る。玄関に置く訳にゃあいかないしな〜。

こういう事がいやでスノボーに行こうとしても、お正月料金で高いこと!これも納得できん。訪ねる田舎のない我が家は行くあてもなく、人口密度の異常に高いこたつでテレビ&みかんとなる。いったい何匹入ってるんだァ〜!

師走ってしなくちゃなんないこと多いし、物価は高いし、大ッキライ〜!

今は計画だけで騒いでいるが、押し迫ってくるとあせりはピークを通り過ぎ、あきらめにどっぷり浸かって開き直る。そしてトドメには「ホコリに負けない強い体を作ろう!毒をもって毒を制す。」と言ってしまうのだ。