Vol.5

ドルフィン

仲の良い友人、といっても仲が悪ければ友人じゃあないけど、私の場合は全く気を遣わないで済む友人と夕食する機会があり、どこ行こっかと言いながら車を走らせ、なんとなく森林公園へ。今は根岸競馬記念公苑というのができていて、子供がポニーに乗れたりする。
(浜湘遺産とカブッているのでそちらを参照のこと。)

昔、外人さんが日本で初めて競馬を楽しんだという、由緒正しき歴史スポット。そこのつながりにアメリカがあり、普段は入れないが、8月の最後頃の土日に「friendship day」というのがあって、いわゆる日米合同夏祭りをする。これが結構イケテル。パスポートのいらないアメリカ日帰りみたいなモンで、湾岸戦争の時など、兵士と一緒に本物の銃を持って子供たちは記念撮影し、大喜びだった。敷地内は完全にアメリカで、家はアメリカ、庭はアメリカ、看板はアメリカ、歩いてる人間もアメリカ。深く考えなければ、楽しめる。今はこんな時なので、また銃を抱えた兵士がピリピリしてると思う。

夜に女二人で公園で遊んでもしょうがないので、そのそばのカラオケしながら食事もできるホワイトシャークという店へ。水槽にはなるほどシャークが泳いでる。なにやら雰囲気の良いバーもある。お酒にゃ興味ないので、速攻、BOXへ入る。

部屋はカラオケBOXそのもの。広い窓があり、外にはユーミンが歌ったとおりの景色。
夕暮れ時で良いムード。でも新しそうなマンションが建っちゃった。あそこの住人は毎日この景色を堪能できるわけ。販売したときのチラシには、「ユーミンの歌になった山手の港が一望!」なんて書いてあったんじゃなかろうか。

花火も見れるのかなあと友人。花火はあっちでしょ〜と指差せば、そっかあっちかあ〜と全く違う方向を指差す彼女。私は方向音痴が自慢だが、彼女も負けてはいないらしい。

すぐ隣があの有名なドルフィン。平日のせいか、ドルフィンにもお客さんはまばら。カップルが海の見える席で食事してるのが見える。

昔は良かったとは言いたくない言葉だけど、ドルフィンに限っては言いたい。知る人ぞ知る、知らない人は全く知らない、隠れ家みたいな店。歌を聴いたときには、「ユーミン、貴女はよくぞここを知っていた。やるじゃん!」と驚いた。

青春の思い出の何ページかがあの店にはあるから、きれいに大きくなったドルフィンにはまだ行った事がない。それでいいのだ。とバカボンのパパ風にうなづく。若いカップルがあのきれいなドルフィンで思い出のロマンティックな時を過ごして、写真も撮って楽しめばいい。

でも思い出というのか、脳裏に何故か「太陽にほえろ」の山さんがある。ドラマのワンシーンで一番良い席に山さんが座ってたのである。渋かった。飲んでる物は、ソーダ水ではなくコーヒーだったが。

そんな思い出はすっ飛ばし、友人と私は美味しい中華を食べながら、演歌からヒッキーまでを3時間、熱唱しまくったのは言うまでもない。