毎月第2・第4木曜日更新 (連載の場合は続けて次週更新します)

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Vol.27 天高く、猫肥ゆる秋
 

アツイ夏も猫にとっちゃ、過ごし易い季節。
猫はもともと砂漠の生き物だったから、暑いのは好きらしいのだ。
真夏でも、わざわざ窓辺のアツイ陽だまりで寝ていたりする。

アレックスの夏は、牛タンのような長い舌をダランと伸ばして、ワニのような大きな口でせわしなくハアハアしてるので、その息遣いを聞いてるだけでもかなり暑苦しい。
それと比べると、猫はいつでもクールである。(=^. .^=)

やっと秋の爽やかな季節になって、アレックスの口が閉じてるコトもあるようになったら、全ての生き物にとって、食欲が増す季節の到来だ。

一年中、猫の食欲は衰える事も無いのだが、さらに食べたがるような気がするこの季節。
すでに、転がった方が走るより速そうな、太っ腹な我が家の猫たち。
ダイエットは口癖だが、成功への道は険しく辿り着ける気はしない。

かくして本能のおもむくまま、今朝も甘えた目つきで餌皿がカラだと言い寄ってくる。
餌皿にカラカラとドライフードを入れる音が響くと、ワラワラと集まってくる猫族。
入れ終わって振り返ると、6匹の似たようなネコたちの朝会が始まっている。
争うコトもなく、思い思いの場所で、成り行きの順番をジッと静かに座って待つ。
割り込みをするのは、何をしても許されると思い込んでる無邪気なマリン母さんだけだ。

普通、猫って「にゃあ〜」とか「にゃん」とか鳴くンだったハズ。
でも、我が家の猫たちは、「わん」と鳴く。犬と暮らしてるせい?
いや、ホントだってば…。(^v^)

特におしゃべりポーちゃんは、近頃では、苗字をしゃべれるようになり、これなら迷子になっても交番で名前を名乗れるから安心だ。

仲良しのタックンのことを、「たこ〜、たこ〜〜ぉ」っと連呼して捜す。
だからホントなンだってば……。o((*^▽^*))o

自称猫族のボスを気取ってるポーちゃんは、常に犬たちの側でその虚勢を張る。
わざわざ傍に寄って行って、スリスリし、足の匂いを嗅ぎ、ジッと見つめる。(`ー´〃)
犬が振り返ったら、「シャア〜!」と怒りながら猫パンチの左フックをお見舞いする。

全然それに動じないアレぴょは、フガフガ言いながらどんどん寄って来るから、さらに右ストレートも浴びせるのだが後ろに下がりながら…イスの下に隠れながら…ワンツー。形勢不利。

一日に何度もこうして、猫様は犬なんかよりも上位なのだと教え込まなくてはならないのだから、やれやれ、犬教育には手間が掛かる。
だから大抵の猫達は、この犬教育を諦めてしまった。
たった一匹、断念しないポーちゃんの猫ボクシング。シュシュシュ @=(--@v)
彼の日々の努力は素晴らしく、その甲斐あって太ることもなくいられるのかもしれない。

他の猫はうっかりアレぴょに見つかってしまうと、「遊ぼ〜っ♪」と、首を咥えられて誘われる。
パンチパンチの連打で応戦しても、ヘラヘラ笑いながら受けるアレぴょは打たれ強く、ホッペを叩かれてもカッポカッポと良い音をさせて喜んでいる。(^▽^笑)

猫族様としてはこんな犬を相手に遊びたくなんかないのだけれど、このしつこさに付き合わされることにも慣らされてきてしまった。

走って逃げても、はしゃぐアレぴょから逃げ切れるモノではない。
高い所へ飛び乗るか、狭いトコへ逃げ込むか。(;´д` )
この犬のしつこい遊びを断ち切るには、いくら怒っても叩いてもムダなのだから。

どれも似たような茶トラばかりなのに、アレぴょには、ちゃんと区別がついている。

怒らずに、適当にパンチして遊んでくれるティンキーウィンキー。
逃げるのが面倒臭いからというユルイ感じで、仰向けに寝転んでパンチしたりしてる。

いつも怒ってばかりいるラーラ@強気。
でもラーラが後ろを見せたとたんに、アレぴょは、すかさず近寄って匂いを嗅ぐのだ。
そして振り返ってまた怒るラーラ。(メ▼▼)=○(/_x)/
猫パンチを振りかざして追いかけてくる怖〜いお姉さんだ。

最近は、走って逃げることも諦めてきたディプシー。
身が重いし、それ以上にアレぴょはシツコイ。

物陰に隠れていて、突然飛び出し、派手にアレぴょを追っかけまわして部屋中駆け回るタックン。
お腹の余ったお肉が左右にブワンブワン揺れてるけど、気にせず走るっ走る〜ゥ。
C= C= C= C= C= C= C= C= C= ┌(;・ω・)┘C= C= C=C= C= C= (((((( *≧∇)ノノノ キャー

そして、犬が寝ていようがお客さんが来ていようが我関せず、好きな時に好きな場所で寝るのだ…という自由気ままなマリンちゃん。

似たような茶トラ柄の猫達でも、個性は様々。
その中でも面白いことを考え出し、行動に移すのがお喋り猫・ポーちゃんだ。

冷蔵庫を駆け上り、一番高い所から家族を見下ろし王様の気分。
狭い手すりの上での日向ぼっこ、スリル満点。
一本橋のカーテンレール歩き、一方通行なので、帰りはバックするのみ。
馬鹿と煙とポーちゃんは、高いトコへ上がるのが大好き。
そして犬たちを配下に治めて、世界征服の野望を胸に抱く。

肥満に甘んじる猫達をよそに、ポーちゃんだけは機敏な動きが自慢だ。
日々、意味も無く突然ダッシュして鍛えてる。
ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌( ̄∇ ̄)┘

ところが今日は大失敗してしまった。
いつものように、犬たちに睨みを利かせながらイスから飛び降りたポーちゃん。
どういうワケか、体と違う方向に前足が滑り、イスの背もたれのパイプ部分に前足を引っ掛けて抜けなくなってしまった。

イスに怒りをぶつけるポーちゃん。
その「ンぎゃお〜ぉ!」に、オドロキ慌てるタイラー、思わず吠える吠える!ワン!ウワン!!
その吠え声に怒って、辺り構わず猫パンチを振り回すラーラちゃん。ンしゃあ〜!
とりあえず騒ぎに便乗して、ドタバタはしゃぐアレぴょ。うひょひょ〜!
大乱闘〜。バタ ヾ(≧∇≦)〃ヾ(≧∇≦)〃バタ

まだ確実に、犬たちを支配下に治めきれていなかったのか…と、落ち込んだポーちゃん。
イスに挟んだ前足よりも、傷付いたプライドの方が、もっともっと痛かったのだった。

※次回の更新は10月26日(木)です。お楽しみに。