Vol.88

運動しすぎ

毎週一回のゴルフ教室へ、今もコツコツ通ってる。
上達への道のりは遥かに遠く、ゴルフ道の奥は深い。
それでもお稽古事と割り切って、亀の歩みでもやらないよりはマシだろうと続けてる。

1籠には、1階席では35球、2階席だと40球入ってる。
2時間のレッスンで、ほとんどずっと打ちっぱなし。
ゆっくり考えながら打ち続けると、平均約6籠240球。
多い時には10籠打ったこともあるけれど、せいぜい8籠位がちょうどいい。

始めた頃にはあちこち筋肉痛にもなったけど、今は慣れてしまって全然平気でこなしてる。
そのおかげか、はたまた犬の散歩のおかげなのか、二の腕は見違えるほど太く逞しくなった。
藍ちゃん、さくらちゃんのように、オヘソは最初っから出せないけど、さらには腕も出しにくくなった。

今日のレッスンは、復習を兼ねてグリップの握り方の確認。
20年前とは違って今のグリップは、左手の手のひらを右足の太ももに向けてクラブに当て、人差し指と中指の付け根の関節が見えるくらいにするそうだ。
右手はその左手の手のひらと手を合わせるように、斜め下から添える。

グリップが変わると腕の動きも変わり、バックスウィングで右肘が上がって開く場合は、関節が無理な動きをしている証拠なンだそうだ。
こんな小さな変化一つで、球の飛ぶ距離も方向も変わってくるから、面白い。

へえ〜、なるほどねぇ〜〜。
レッスンプロの先生が教えてくれる、一つ一つのアドバイスを素直に実行してみると、これで見違えるほど球の飛び方が変わるから、まるで魔法の呪文のようだ。

「おお〜、これで一皮剥けちゃいましたぁ!」
「今日は一つ、悟りが啓けちゃったねぇ!」

大喜びしてみたところで、また来週にはサッパリ爽やかに忘れてる。
何度も教えられて何度も繰り返して、一歩進んで二歩下がる。
ほっといたら後退してヘタになる分、レッスンでブレーキ掛けてるくらいが、私のお稽古なのだ。

練習を終えて外に出てみたら、気持ちの良い南風が吹いていた。
「あっらぁ〜、こりゃ私にちょうどいい風じゃな〜い?」
どっかでランチでもって思ってたけど、予定変更。
いそいで帰って海に向うことにする。

浜辺では、ブルドーザーとショベルカーのコンビがいて、砂浜の整備をしている。
海の家の為の整地らしい。
そっか〜、もう来月が6月だし、海開きもそう遠くない話だモンね。

毎年、ゴールデンウィーク頃に海開きする私。
冷え性だし寒がりだから、冷たい海に入ると足が攣る。
今年はまだ海に入っていなかったから、今日がシーズン初のウィンドサーフィンだ。

 

天気は良いけど平日とあって、さすがに海は空いている。
昨日は風が吹くという予報で、上手い人たちが大勢海に出たらしいけど、今日はのんびり初級者日和だ。

今年は、もう初心者用デブ板のイージーライダーは卒業しよう。
広い戸板は安定感がありすぎて、いい加減に乗っても大丈夫だから、私はいつまでたっても上達しない。
でも本心は、持ち運びが楽でカッコいいショートボードに憧れてるンだっ♪。
今日は、センターフィンの無い、かなり小さめのボードを借りて乗ってみることにした。

去年だったか、北風のある日、やはり小さめのセンターフィンの無いボードで出てみた私。
まだハーネスが掛けられない頃だったし、風がガスティで安定しなかったこともあり、ずっと腕の力だけで乗っていた。

風上に上っても、上った分だけ風と潮で流され、なかなか思うように岸に帰れない。
何度も往復して挑戦したが、手と腕の力を使い果たし、漂うボードの上で座り込んでしまった。
「遭難」という文字が頭に浮かんだ。
泣きそうだった。
足の付くところに帰りたかった、マジで。

仲間がボードごと引っ張って帰ろうとしてくれたが、やはり上った分だけ流され同じ場所を往復していた。
最後は仲間のリーダーがジェットで迎えに来てくれ、記念すべき初レスキューとなってしまった。
その苦い教訓があるので、力量以内で遊ぶように、更に気をつけるようになった。
今日は南風だから、流されても岸のどこかにつくから大丈夫♪
風もちょうどいいから、安心して遊べそうだ。

陸では半そでの陽気だったけど、仲間のアドバイスでウェットスーツは長袖・長パンツのフルスーツにする。
購入時より3キロは増えた体を、息を止めて唸りながら無理やり押し込む。
中年太っ腹のウルトラの母って感じだ。
素早く、ウェスト付近を誤魔化すハーネスとライフジャケットを身につける。
しっかしこの贅沢お肉は、現実問題としてこの夏までの課題であると思い知らされる。

こないだ大潮だったせいか、引き潮が思いっきり遠くまで遠浅にしている。
水はまだ冷たくて、綺麗に底まで澄みきっている。
漂う海藻がゆらゆら踊ってる。

さっそく初挑戦のボードに乗ってみる。
小さな足元はゆらゆら揺れて、実に不安定。
それでも軽業師と呼ばれる私は、なんとかバランスとって落ちないよう踏ん張る。
だって今日は海に入るとは思わなかったから、マスカラ付けて来ちゃったンだも〜ん。

体で覚えた事って忘れないモンなのか、すぐにセイルは風を張らんでボードを進ませる。
うひょっっ、いいぞぉ〜。
きっもちイイ〜〜っ!
乗れてるじゃ〜〜ん、できてるじゃ〜〜〜ん!

調子に乗ってるとすぐに沖まで行ってしまうから、ここらで方向転換っっ・・・と。
小さなボードは遠慮なくゆらゆらぐらぐら。
ロープタックをするが、セイルを半分、水に落としてしまい、またセイルアップで力を使う。
一往復で腕はヘトヘト、足はガクガク、しばしボードの上で呼吸を整え、休憩と相成る。

それにしても気持ちのイイ、この状況!最高〜♪
至福のひと時だ。

ゆっくり休み休み一往復ずつを繰り返した。
顔見知りの人たちが次々と声を掛けてくれる。

「お、珍しいですね〜。」
「ほぉ〜、もうそんなボードに乗ってるの〜?、そっか〜。」
「小さい板でもちゃんと乗れてたじゃん〜。マリちゃんは風と喧嘩しないからいいンだよ。」

みんな、ちゃ〜ぁんと見てくれてるンだあ。
何かあってもこれだから安心なんだょぉ。

今日は、午前中ゴルフレッスンしちゃったから、初ウィンドは無理せず、もっと乗れるかもというところで止めといた。
また今度のお楽しみ。

それでも体には充分だったみたいで、案の定、包丁握る力は残っておらず、その日の夕食は外食となったのは言うまでもなかった。
食事をしながら、今にも眠りに落ちそうな睡魔と闘う私って、いくらなんでも運動しすぎかも。
子供ぢぁないンだからっねぇ(_ _)zzZ