Vol.67

お花のこころ

海外へ行くと、現地のガイジンさん達があまりに愛想が良くって、戸惑ちゃったコトありませんか?
一緒にエレベーターに乗り合わせたり、目が合ったりするとニッコリ!
降りて別れ際に、「Good night〜♪」

日本人同士では、これはできない挨拶だよね〜。
目が合ったからってニッコリしようモンなら
「ぎょっ!?ナンパする気っ!?」って警戒されちゃいそうだし、
「おやすみ〜♪」なぁんて見ず知らずの人に言ったらきっと
「何?あの人!酔っ払い?変な人ねっ!」って思われるに違いない。

ガイジン流の愛想の良さに触れてくると、ウチの近所のスーパーでも、お店の人の、
「有難うございましたァ」に、「有難うございますゥ」って大きな声で答えてた。
でもだんだん日本の空気に戻ってくるとテンションも下がってきて、つい「ど〜も〜」って呟いて済ましちゃってる。

日本じゃ無言でお金出して、無言で品物を受け取ってる人がほとんどだモンね。
でも日本のレジでも、鎌倉では丁寧にお礼を言ってるお客さん、結構いるのです。
品の良い老婦人が、買い物を済ませお釣りをしまいながら、お店の人に「有難うございます」って。
「○○円です。」の声を聞き返していても、お金を出すのに手間取ってても、この丁寧な言葉を聞くと
「いいなァ〜」と心が柔らかくなって、イライラも感じないから不思議なものだ。

私は友人が見せた気遣いに、ちょっと感動したことがある。
サイパン合宿中のABCストアーでのこと。
ある一定の買い物金額を超えると、マグカップをオマケにくれるというお店のサービスがあった。
そしてちょうど彼女がそのサービスを受けられることになった。

ところがレジの後ろに用意してあったマグカップがもう終わりになり、倉庫から持ってこないと無いらしい。
他に店員もいないのか、体の大きなレジのおじさん、よっこらしょっ、ちょっと待っててネ〜とレジを離れ、倉庫へ取りに出かけてしまった。
彼女の後ろには、ゴルフに来てる日本人のオジサマたちが数人、飲み物を買おうと手に持って並んでいて、イライラし始めたのが感じられる。

やっとマグカップを手にニコニコ戻ったレジのおじさん、彼女に受け取りのサインをするようペンを渡す。
空気を読めないのか大らかなのか、店員さんは、その間に後ろのお客さん達を捌こうとは、思わないらしい。
並んでる日本人のオジサマ達のイライラが、益々つのってくる。

先にレジを終えた私もそばで見ていて、もうちょっとなんとかならないのかな〜?と思った矢先、サインを終えた彼女が荷物を手にクルッと振り返り、日本人のオジサマたちに微笑んで頭を下げた。

「大変お待たせ致しました。すいませんでした。」

彼女は美人な上に、とっても笑顔が美しい。
こう言われた日本人のオジサマたち、さっきまでのイライラはどこへやら。

「いやあ〜イイよイイよ、ゆっくりやってください。ど〜ぞど〜ぞ!」
ニコニコとハッピーな空気に変わり、和やかにレジを通っていったのでした。

レジのおじさん店員が謝ったとしても、きっと仏頂面は変わらなかったであろうオジサマたち。
もう出会うことも無いかもしれない人達だけど、こんな一瞬のふれあいも大事にしてると、なんだか良い人になれそうな気がするのだ。
彼女の笑顔とあの一言は、魔法のように実に見事だった!

顔立ちは持って生まれたものかもしれないけれど、顔つきは心の持ちようで作るもの。
ズルイ事ばっかしてるとズルイ顔に、意地悪してると意地悪な顔になっちゃうンじゃないかなぁ。
だから綺麗な心でいれば、きっと綺麗なオバサンになれるンじゃないかしらン!?
たぶんホントの美しさって、内面から浮き出てくるコレなンだよね〜♪

静かな鎌倉の海岸にも、海水浴のシーズンがやってくる。
遠方から遊びにきた人たちの中には、開放感から、普段はしないけど今日はいいだろうという例外行動をとる人がいる。

建物などへの落書き。
タバコや飲食ゴミの投げ捨て・置き去り。
夜中の海辺の花火は、何が楽しいのか大きな音ばかり。
そしてその残骸のゴミは、朝の浜辺に散乱してる。
せっかくわざわざ遠くから、遊びに行こうと思うほどの海だったハズなのに。

広い所で遊ばせようと、犬を連れてきた人は、必ずと言っていいくらいリードを外す。
「今まで脱走はしたことあるけど捕まえたから迷子にはならず、運良くまだ交通事故にも遭わず、たまたま誰かに連れ去られることもなかったから、よぉ〜〜し!今日も勝負で、放してみましたァ。」

良いコでどっかに行ってしまわない犬ならば、放す必要なんてないと思うンだけどな〜。
そっかァ、捨てに来たってワケかぁ!?

法律や条例で決められてる以前に、せめて最低限、自分の品位として守るべきコトってあると思う。持ち主が見てなくても人の物を盗らないとか、人に知られなくても悪い事はしないとか、人様に迷惑を掛けないようにとか。
人として恥ずべきことはしていません、だからいつどっから見られても胸を張っていられるょ、だってほら、お天道様が見てるでしょ〜って、そんな美意識を忘れちゃイカンと思うのよ。

誰も見てないトコでも、お花は綺麗に咲いている。
誰かに褒められたいとか、見られてるから綺麗に咲こうとかじゃない。
これが息子達が幼稚園で習った、「お花のこころ」という教え。
大人の私たちが実践できなくっちゃ、恥ずかしいじゃん?

美しい土地と歴史ある建物、心癒される海から教えられるコトは果てしなく沢山ある。
心のアクを洗い流して、お花のこころを忘れずに、さぁ、身も心も美人になりましょうねぇ〜♪