Vol.63

横浜・おふくろの味

私の作るホットドッグは、町で売ってるホットドッグとは、ちと違う。
家族は、コレを長年ノーコメントで食べている。
お店で売ってるのとは違うけど、それはソレ、これもヨシとしてるンだろう。

我が家の味、それはキャベツが入ってるホットドッグである。

「運動靴の紐の幅がちょうどいいのよ。」
大正生まれの、ハイカラ浜っ子だった母からはそう教えられた。
英語で言うなら、シューストリング?

その靴紐の幅に細切りしたキャベツを、フライパンで炒めて軽く塩コショウしてパンに詰め、茹でたウィンナーを乗せる。
トースターでちょっと焼くと、かなり美味しい。
ケチャップとマスタードをブチュゥッと掛けて、かぶりつく。

パンにクリームチーズを塗ったり、ピクルスをみじんきりにしたものを詰めると、高級なホットドッグになる。
でもおふくろの味は、単純にキャベツ入りのホットドッグだった。

何故、キャベツなのか?
レタスなどの生野菜が、まだ普及していない時代だったから?
ピクルスが手に入らなかった?
その理由は分からない。

ある時、友人に、このホットドッグのことを話してみた。
彼女も横浜生まれの生粋の浜っ子。
やはり家で作るホットドッグは、「キャベツを入れる」だった。
彼女の家では、茹でたキャベツだそうだが、きっと似たような味だと思う。

家庭の味なのか横浜の味なのか分からないけど、何故か外では売ってないホットドッグである。

もう一つ、おふくろの味が、シュウマイだ。
横浜名物シュウマイは、どこへ行っても売っている。
中華街の老舗のりっぱなシュウマイは、間違いなく美味しいごちそうだ。
でもそれは高い・・・。

きっと何か特別なものが使われていて、だから高級な美味しさになってるンだろうけど、一個いくら?って考えるとびっくりしちゃう。

そこでおふくろは手作りシュウマイする。
シュウマイの皮はスーパーで売ってるし、袋の裏には丁寧に作り方が書いてある。

素直にそのとおりに作れば、それなりの、いや自分も家族もびっくりするくらい美味しいシュウマイができちゃうのである。
カニを入れてみたり、ホタテやえびを入れてみたりして、その日の気分で自分なりにアレンジ。
蒸かしたてのほかほかシュウマイを、酢・からし・しょうゆにチッと付けて、食べる。
高級中華料理店には及ばないまでも、かなりの線で足元には近づける。

シュウマイと来れば、忘れてはいけないのが焼き餃子。
餃子の美味しいお店ってチマタには色々あるけれど、一人前5個くらいじゃ〜食べ足りない。

それならば、これも手作りおふくろの味。
ちょっとしたコツを掴めば、そんじょそこらの有名店にも、負けないくらいの味を目指せるかも。
中華街のコックさんに習った「秘伝」も、今日はこっそりアナタに教えちゃうょ〜!

分量は餃子の皮3袋分。
野菜多めで下町風な餃子が好みなので、袋の裏にあるレシピからは、かなりアレンジしてる。

まずは、野菜をみじん切り。
ニラ2束、キャベツたっくさん、刻んだ野菜が大っきなボウルに一杯になるくらい。
これに塩を振ってしんなりさせておく。
そして握力にモノを言わせて、思いっきりギュ〜ッ!と水分をしぼる。

豚のひき肉は、250グラムくらい。
ここで「秘伝」が登場。
小さなボウルに50cc位の水を用意して、長ネギの青い部分、捨てちゃうトコをその水の中で揉んでネギ水を作るのだ。
ネギのぬるぬるが水に溶け出たら、そのネギ水を、豚のひき肉に少しづつ揉み入れていく。
油っぽい肉なのに、不思議と水が吸い込まれて混ざってしまう。
そうすると肉がパサパサにならないという、中国4000年の知恵なのである。

この肉をさっきの搾った野菜と、にんにくや生姜のみじん切りと、よぉ〜〜く混ぜて混ぜて、肉の姿が野菜に混ざって見えなくなるくらいまでになったら、美味しい餃子になる素質は充分だ。
片栗粉と味付けは、袋のレシピを参考に。

このあとの焼き方もとっても大事。
最初っから最後まで思いっきり強火で、一切の火加減はしないと覚悟をする!
テフロン加工のフライパンなら、焦げ付かないし失敗がない。

餃子をフライパンに並べたら、左手に蓋を持ち、右手で餃子の半分位の深さまで水を入れる。
素早く蓋をして、水が無くなるまで放っておく。
水が無くなると音が変わるので、蓋を取って、ごま油を掛ける。
そのまま蓋無しで焼いて、美味しそうな焼き色が付いたらできあがり。
見た目にも美味しい、パリパリピラピラのオマケも上手に付いてくる。

あ〜、今夜は餃子が食べたくなっちゃった!